Vol.8 The Seasoning of Songs Vol.8~夏・Summer編 II~

東京では観測史上最高気温を記録するほどの暑い日が続いています。
そこで、今回の洋楽特集は、夏の定番“ボサノヴァ”をご紹介いたします。
“ボサノヴァ”と“夏”とは直接に関係はないのですが、“ボサノヴァ”を聴くとなぜか涼しい気分になりますね。
1958年にアントニオ・カルロス・ジョビン(曲)とヴィニシウス・ジ・モライス(詩)が作った「想いあふれて」が、エリゼッチ・カルドーゾ、そしてジョアン・ジルベルトによって録音されました。これをもってボサノヴァの誕生と定義されているようです。
ボサノヴァの発祥地はリオ南部のコパカパーナ、イパネマ海岸に面した中産階級のサロン、“ボサノヴァのミューズ(歌姫)”と言われたナラ・レオンの家などに集まったジョビンやカルロス・リラらによって生み出されたと言われています。
その後ジョビンとヴィニシウスのコンビは「イパネマの娘」「デサフィナード」等のヒットを放つのですが、我が国でボサノヴァが知られるようになったのは、1959年カンヌ映画祭でパルム・ドール賞を受賞したマルセル・カミュ監督の「黒いオルフェ」のサウンドトラックに、カルロス・ジョビン、ルイス・ボンファが手がけた「フェリシダージ」「カーニヴァルの朝」といったボサノヴァが使われてからでしょう。そして1963年、ジャズ・サックス奏者スタン・ゲッツがジョアンとアストラット・ジルベルトそしてジョビンと傑作『ゲッツ/ジルベルト』を制作、見事グラミー賞を受賞し、ボサノヴァは世界的なブームに発展しました。
それでは、数多いボサノヴァの名曲のなかでフジパシフィック音楽出版が管理するカタログから数曲ご紹介いたしましょう。

【洋楽~ボサノヴァ特集】

「想いあふれて」

まさに、ボサノヴァの第1号作品と言われているジョビン&モラエスの名曲。カルロス・ジョビンそしてジョアン・ジルベルト自身の演奏のほか、ナラ・レオン、スタン・ゲッツ、クインシー・ジョーンズも演奏しています。「ノー・モア・ブルース」という英語版タイトルでも有名です。
 

「デサフィナード」

「イパネマの娘」と並びボサノヴァを代表するジョビンの名曲。1963年に発表された、スタン・ゲッツ(テナー・サックス)、ジョアン・ジルベルト(ギター)によるボサノヴァの傑作『ゲッツ/ジルベルト』での名演をはじめ、ナラ・レオン、ガル・コスタといったボサノヴァ・アーテイストにとどまらすフランク・シナトラからケニーGまで多くのポピュラー・アーティストによってカヴァーされています。

☆「想いあふれて」「デサフィナード」は『イパネマの娘』(UCCU-9511)に収録されています。
 

「トリステーザ」

ナラ・レオンと並ぶブラジルの天才女性アーティストがエリス・レジーナ。1961年にレコード・デビュー(当時16歳!!)。シンガーとして開花したのは、シングル「Arrastao(アハスタゥン)」が大ブレイクしてから。その後、この曲は彼女の18番となりました。その他アストラッド・ジルベルト&ワルター・ワンダレーの演奏も必聴もの。

☆「トリステーザ」は『エリス・レジーナ・フォー・カフェ・アプレミディ』(UICY-1106)に収録されています。
 

「リカード・ボサノヴァ」

この曲はバーニー・ケッセルの演奏でもおなじみ、むしろジャズ・ナンバーとしての認知度が高いですね。日本ではタバコのTVコマーシャルでイーディ・ゴーメのバージョンが使われ人気がでました。ワルター・ワンダレーの演奏も聞き逃せません。

☆「リカード・ボサノヴァ」は『バーニー・ケッセル/オン・ファイア』(MTCJ-1048)に収録されています。
 

「悲しみのサンバ」

ブラジルのギタリスト、バーデン・パウエルはアントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトらと共に世界的なボサ・ノヴァ・ムーヴメントに貢献したもう一人の天才です。この曲は、そのバーデン自身の手による彼の代表作。70年代に活動の拠点をヨーロッパに移して活躍。2000年9月に残念ながら他界しました。

☆「悲しみのサンバ」は『黒いオルフェ~ベスト・オブ・ボサノヴァ・ギター《マーキュリー・フォーエバー・コレクション》』(PHCY-3016)に収録されています。
 

「ソーホーのサンバ」

ロナウド・バストスとパウロ・ジョビンの作品、パウロはアントニオ・カルロス・ジョビンの息子。
レコーディングとしてはアントニオ・カルロス・ジョビンがヴァーブに残したアルバム『パッサリン』(POCJ-2357)、我が国では小野リサのアルバム『ボッサ・カリオカ』(TOCT-10344)におさめられています。

【邦楽編~夏を彩る名盤】


「夏」「SUMMER」がキーワードの邦楽曲が弊社の管理曲には数多くあります。限られたスペースではその全てを紹介することは不可能ですが、その中から数曲ピックアップし、ご紹介させて頂きます。

☆「夏」と言えば、やっぱりサザン!

弊社の管理曲の中にもサザンの夏の歌が数曲ございます。
 

「あなただけを~Summer Heartbreak~」<作詞・作曲=桑田 佳祐>~サザン・オールスターズ

1995年7月~9月、フジテレビの「月9」ドラマ、福山雅治、桜井幸子主演の「いつかまた逢える」のオープニングに流れていたのは、熱いため息が出てしまうほどの名曲「あなただけを~Summer Heartbreak~」でした。1995/7/17にシングルが発売され、ご存知の通りの大ヒット!となりました。

★「あなただけを~Summer Heartbreak~」は、『バラッド3~The Album of Love』(VICL-60660)に収録されています。

 「夏をあきらめて」<作詞・作曲=桑田 佳祐>~サザン・オールスターズ、研 ナオコ

1982/7/21にリリースされたアルバム「NUDE MAN」に収録されていた曲でシングル・カットはされていないけれど これまた数多あるサザンの代表作の一つであることに間違いない! 1982/9に研ナオコが歌いシングル発売され大ヒット!実に味のある歌唱で研ナオコの代表曲でもある。味わいは違うが、サザン・研ナオコどちらも名盤であることは、間違いない!

★「夏をあきらめて」は、『NUDE MAN』(VICL-60215)に収録されています。
 

「MERRY X'MAS IN SUMMER」<作詞=桑田 佳祐・作曲=KUWATA BAND>~KUWATA BAND

もう1曲、桑田佳祐作品を。KUWATA BAND名義で1986年の7月、まさに真夏にシングル・リリースされたクリスマス・ソング!桑田佳祐らしいレゲエ調のシャレ気たっぷりのヒット曲。夏に聴いてもクリスマス・シーズンに聴いても良いものは良い!

★「MERRY X'MAS IN SUMMER」は、シングル『MERRY X'MAS IN SUMMER』(VICL-35303)に収録されています。
 


「夏休み」<作詞・作曲=吉田 拓郎>~よしだ たくろう

夏が来ると団塊の世代のオジサン達は、若かった頃、フォーク・ギターを弾きながらこの曲を歌ったことを思い出すのでしょうか、ついこの歌を口ずさんでいる人が、思いのほかたくさんいらっしゃるようです。「旅の宿」など名曲揃いの1972年リリースのアルバム「元気です。」に収録されている、実に夏を感じさせてくれる郷愁溢れる曲。

★「夏休み」は、『Takuro The Best~メッセージ~』(MHCL-10002)に収録されています。

「夏のせいかしら」<作詞=安井 かずみ・作曲=馬飼野 康二>~夏木 マリ

1974年に夏木マリが放った大ヒット!「絹の靴下」「お手やわらかに」と共に夏木マリの代表曲。当時、女性の魅力を振りまきながら、カメラ目線で歌う夏木マリに悩殺されそうになった男どもは数知れず!「助けがいるよな?不思議な気持ちになるのは、…」「夏のせいかしら」と歌っている夏木マリ様、間違いなく「あなたのせいです!」と呟いたのは、私だけだったのでしょうか?!

★「夏のせいかしら」は、『絹の靴下《昭和フォーティーズ》』(KICX-7093)に収録されています。
 

「夏の雫」<作詞=阿木 耀子・作曲=井上 陽水>~三田 寛子

1982年3月、「駈けてきた処女(おとめ)」で鮮烈な歌手デビューを飾った三田寛子。デビュー作同様、阿木耀子と井上陽水の作品による1982年7月に発売されたセカンド・シングル。デビュー曲もこの曲も、いわゆるアイドル歌手が歌う作品らしくなく、詞も曲も衝撃的かつ画期的なものでした。発表から20年以上経った今なお刺激的な曲です。

★「夏の雫」は、『DREAM PRICE 1000 三田寛子~初恋』(MHCL-142)に収録されています。
 

「夏女ソニア」<作詞=阿久 悠・作曲=芳野 藤丸>~もんた よしのり with 大橋 純子

1983年コーセー化粧品の夏のキャンペーン・ソングとして4月に発売され、大ヒット。共にパンチがあって抜群の歌唱力を誇るビッグ・アーティスト同士のデュエット・ソングとしても、当時大変評判になった曲です。

★「夏女ソニア」は、『ゴールデン☆ベスト~もんた&ブラザーズ コンプリート・シングルス・プラス』(UICZ-6030)に収録されています。
 

「夏のクラクション」<作詞=売野 雅勇・作曲=筒美 京平>~稲垣 潤一

1983年7月21日に発売された稲垣潤一のシングル。
20年以上に亘って、今なお根強い人気を誇っている曲。目を閉じて稲垣潤一の歌声に耳を傾けると、ありありと夏の情景がイメージできる作品。

★「夏のクラクション」は、『ラブ・バラード・ベスト・コレクション~P.S.抱きしめたい』(TECN-29726)に収録されています。
 


夏の終り」<作詞・作曲=小田 和正>~小田 和正

オフコースの1978年の7thアルバム「FAIRWAY」に収録されていた曲をセルフ・カバーし、1996/2/1に発売された「Looking Back 1」に収録。

★「夏の終り」は、『Looking Back 1』(FHCL-2003)に収録されています。
 

「夏の別れ」<作詞・作曲=小田 和正>~小田 和正

1988/10/25に発売されたオフコース最後のシングル曲。この曲も、小田和正がセルフ・カバーしています。2001/3/7に発売されたシングル「風の街」のカップリング曲となり、また、2001/5/16にリリースされた「Looking Back 2」にも収録されています。

★「夏の別れ」は、『Looking Back 2』(FHCL-2018)に収録されています。
 

小田和正の夏関連作品には、他にも、オフコース時代:1984年の「夏の日」<作詞・作曲=小田 和正>、1985年の「夏から夏まで」<作詞・作曲=小田 和正>が、共にシングル曲としてリリースされています。 ★「夏の日」「夏から夏まで」は、『オフコース・グレイテストヒッツ~1969-89(完全版ベストアルバム)』(FHCF-2418)に収録されています。
 


「ガラス越しに消えた夏」<作詞=松本 一起・作曲=大沢 誉志幸>~鈴木 雅之

ソロ・シンガーとなって初のシングルとして、1986/2/26に発売されたのがこの曲。ソロ・デビュー記念作であると共に息長く愛され続けている曲でもあります。今年の4/25に発売された「鈴木雅之/トリビュートアルバム」にも、クレモンティーヌとCOBAが共演しフランスでレコーディングされたこの曲が収録されています。

★「ガラス越しに消えた夏」は、『SUZUKI MANIA ~鈴木雅之トリビュートアルバム』(ESCL-2497)に収録されています。
 


「A LONG VACATION」(SRCL-5000)~大滝 詠一

夏に聴きたい曲は実に数多くありますが、夏に聴きたいアルバムは?と問われて、真っ先に大滝詠一の「ロン・バケ」を思い浮かべる人、実に多いのではないでしょうか?
音楽は勿論のことですが、永井博氏のジャケットも、まさしく夏を感じさせる風物詩の一つにまでなったと言っていいかもしれません。
松嶋菜々子出演の「KIRIN/生茶」のCMで「君は天然色」を聴いてから「ロン・バケ」を知った若い人たちも沢山いるようです。1981年にリリースされて以来、世紀を跨いでロング・セラーを続けているアルバム「ロン・バケ」は、まさにEndless Summer!